会田誠『性と芸術』感想

会田誠『性と芸術』読んだ。性と芸術 (幻冬舎単行本)作者:会田誠幻冬舎Amazon会田誠はセーラー服の少女をモチーフとした作品など、センセーショナルな作品で知られる現代美術家である。それゆえに森美術館での性的な作品の展示への抗議や大学の公開講座にお…

戦時下を生き延びていくということ────コニー・ウィリス『ブラックアウト/オール・クリア』感想

SF

HoI4にハマってしまった話 我が家はゲーム禁止でマリオもカービィもポケモンも友達がプレイしているのを眺めているだけの少年時代を送った。一人暮らしになってからは金銭と時間の許す限りはゲームは出来る環境になったが、やはり子供時代に縁を結べなかった…

アイドルと強さは両立しえないのか────笠原桃奈の卒業によせて

笠原桃奈を始めてみたハロプロのオタクたちは誰もがその見た目と年齢のギャップに驚いただろう。ハロプロ研修生の公演の際に撮影された一枚の写真で広く知られる当時12歳の笠原桃奈はとても大人びて見えたし、本人もどこかそれを演出しようとしたのかもしれ…

終わりなき凡庸さを生きろ────映画『花束みたいな恋をした』を観た感想とも言えない独り言

先にお断りしておくがこれは映画『花束みたいな恋をした』の感想ではない。『花束みたいな恋をした』というカルチャー好きの若者が語りたくなる要素が満載の映画に乗っかって、公開から半年以上たった今更、自分語りをするものである。すでに若者ではない自…

すでにエヴァンゲリオンもアスカも必要なかったことに気づいてしまった────『シン:エヴァンゲリオン劇場版』ネタバレ感想

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』観てきました。「さようなら、すべてのエヴァンゲリオン」という宣伝文句がこんなに当てはまる感想を持った映画は始めかもしれないですね。以下、ネタバレ感想 アスカという呪いが解けていく エヴァは世代的にリアルタイム…

大学生活に悩んだすべての人に観てほしい————『ユニークライフ』シーズン3

Netflixオリジナルドラマ『ユニークライフ』シーズン3が大学生活を送った者として胸に刺さりまくったので紹介したい。 自閉症を抱えるサムと家族の物語 『ユニークライフ』、原題は"Atypical"(非定型)。この原題を見ただけでも関心が高い人はピンと来る人は…

「のぼる小寺さん」とアイドルと映画

「のぼる小寺さん」は不思議な青春映画だ。ボルダリングという今時なスポーツを題材とした元女性アイドルと若手の男性俳優が主演する漫画原作の映画……と聞くと「あーはいはい。いわゆるアイドル映画ね」となってしまう人も少なくないだろう。 私も映画館で予…

こぶしファクトリーはどこで間違えてしまったか────順調なデビューから無観客ラストライブまで

こぶしファクトリーは5年で幕を閉じた 2016年に発売された3rdシングルに収録されている「サンバ!こぶしジャネイロ」でこぶしファクトリーはこう歌っている。 「将来のニッポンのヒーロー どこで何しているだろう? みんな他人事じゃねぇよ 4年後はTOKYO」 当…

墨田区の水害の情報発信が今一つだった話

台風19号、皆さまご無事だったでしょうか。 関東甲信越・東北の広い範囲に被害をもたらした今回の台風、幸い墨田区の我が家は集合住宅のベランダにある非常時に逃げる奴(なんていうんでしょうね)が破損した程度で大きな被害はありませんでした。 首都圏は…

映画『ジョーカー』が今一つ期待外れだった話(ネタバレあり)

映画『ジョーカー』を初日に観てきた。 初日に観たのはたまたまその日が休みで、「あー初日で観れるじゃん」ぐらい軽い気持ちだったのだけど、正直感想は微妙だった。最大の理由は「ジョーカー」ってこんなに人間的だったっけ????ということろに尽きる。…

「マネについて1時間語れる」アイドルが強くて自立した女性アイドルとして結実するまで────和田彩花とアンジュルム

2019年6月18日、スマイレージ/アンジュルムとして7度目の武道館公演は、和田彩花卒業スペシャルとして行われ、武道館中に広がる「あやちょ」コールに包まれながら幕を閉じた。近年のハロプロの卒業コンサートでは、卒業メンバーが各メンバーの希望やメンバー…

共働き同棲カップルの我が家に保護猫がやってくるまで

今月から我が家に猫がきました!この子はペットショップから来た子ではなく、 譲渡会を通して保護猫ボランティアさんのおうちからやってきた、 いわゆる「保護猫」出身という扱いになります。近年、インターネットでは猫人気が高く、「猫を飼いたい」という…

共働きの時代と郊外――自分の経験から

引越し先を決めるのが大変だった話 彼女と一緒に住む話をすすめていたときに思った話。自分の勤め先の本部は茨城県つくば市にある。 今は東京事務所の方の配属になっているものの、当然、将来的には再度つくば勤務になる可能性は高い。 勤務先の機関は、数十…

首都大学東京を改名する公約を掲げた都知事候補をまとめたよ

お知らせ :: ニュース :: 首都大学東京の名称に関する東京都知事発言について | 首都大学東京我が母校、首都大学東京が「首都大学東京の名称に関する東京都知事発言について」なる不思議なリリースをだした。都知事の談話を受けてのリリースなのは分かるけれ…

全ての人を「かわいい」として肯定するということ--大森靖子と道重さゆみ

ビバラポップ 少し前の話になりますが、5/6、さいたまスーパーアリーナにビバラポップという名のアイドルフェス(?)を見に行ってきました。ビバラポップ!「ライブダイジェスト」が今ならGYAO!で無料配信中! https://gyao.yahoo.co.jp/player/00560/v12838/v…

アイドルオタクがアイドルを嫌いになってしまう瞬間――有安杏果と鞘師里保

とあるももクロファンが書いた今回の有安杏果の卒業に関する記事とその反応を興味深く読んだ。 b.hatena.ne.jp はてなブックマークコメントは「オタクきもい」「アイドルオタクってどこまで傲慢なんだ」「仕事は誰にとっても辞める権利がある」といった正論…

首都大学東京とはなんだったのか――「改革」の検証を学生の視点から

小池百合子率いる都民ファーストの会が「首都大学東京」を都民に親しみやすい名称に変更することを検討しているそうだ。東京都立大学に戻すのか、都民ファースト大学東京になるのか知らないけど、一首長の気まぐれでころころと名称変更させられる公立大学の…

固有の人生を描くということーー『この世界の片隅に』感想

話題の映画『この世界の片隅に』をそこそこ前に観てたんですけど、昨日人と話してちょっと書きたいことがまとまったので、メモ書き程度に。こうの史代の原作は知っていたもの未読、片渕監督も以前『マイマイ新子と千年の魔法』を観たことある程度。太平洋戦…

家族と死と共同体と――映画『海街diary』感想

一ヶ月ほど前に、アメリカから帰る飛行機の中で『海街diary』を見ました。 見た理由は単純。大韓航空機内に入ってる日本の映画がこれしかなかったんです(もちろん日本語吹き替え版のハリウッド映画はそこそこあるから、それほど見るものには困らない)。是…

社会批評性と実存――ミシェル・ウェルベック『服従』感想

去年から話題になってた作品・ウェルベック『服従』をようやく読みました。話題になっていたのはウェルベックが日本で(海外文学としては)人気がある作家ということもあるのでしょうが、やはりホットなフランス政治を舞台としたセンセーショナルさでしょう。…

組織と貧者の狭間でーー『フランチェスコと呼んでーーみんなの法王』感想

イタリア映画祭で『フランチェスコと呼んで――みんなの法王』をみてきました。特にイタリア映画に興味もなく、カトリック教徒でもない自分がこの映画を見に行ったかといったら、単に教皇フランシスコのファンなんです。もっとも、大して調べたりもしていない…

人と建物--中銀カプセルタワービル

久々に都心に赴いたので本屋でふらふらしてたら見つけた本。 都会の本屋は建築関係とか思想関係の本が充実してて、ふらふら歩いてるだけでも楽しいですね。「中銀カプセルタワービル」の写真や住んでいる人たちのインタビューを集めた本。黒川紀章の代表作と…

アイドルと外見至上主義――アイドルの残酷さとは

*リベラルとアイドルの相性の悪さ ちょっと周回遅れな話題ですけど、HKT48の「アインシュタインよりディアナ・アグロン」という歌詞が女性差別的だと話題になりました。ディアナ・アグロンとは「glee」に出てくるクィンという女性を演じた女優さん。「glee」…

アイドルと恋愛とその向こう側――朝井リョウ『武道館』について

朝井リョウ原作、Juice=Juice主演のドラマ『武道館』がフジテレビで始まった。その翌日にモーニング娘。の鈴木香音が今春をもっての卒業を発表した。ただの偶然なんだけど、『武道館』の作中で香音ちゃんをモデルとした登場人物が出てくる(ぽっちゃりキャラ…