墨田区の水害の情報発信が今一つだった話

台風19号、皆さまご無事だったでしょうか。

関東甲信越・東北の広い範囲に被害をもたらした今回の台風、幸い墨田区の我が家は集合住宅のベランダにある非常時に逃げる奴(なんていうんでしょうね)が破損した程度で大きな被害はありませんでした。

首都圏は台風の進路的にだいたい日本列島で横断してきて弱った台風が来ることが多かったので、大騒ぎするわりにはそこまで強い台風がくることはあまりなかったのですが、今年は二連続で海から直接殴り込んでくる台風がきたということで、首都圏の防災体制が問われる年になりました。

というわけで、今回の台風で墨田区の情報発信が今ひとつだった話です。

もちろん、区役所の方は休日に余裕のないなか対応して頂いたのだと思いますし、責める気持ちはありません。次回に改善してもらえば、ということで記憶も新しいうちに書いておきたいと思ったからです。


墨田区の立地

墨田区は東京の東側、西を隅田川、東を荒川に挟まれた低地に位置しており、非常に水害リスクは高い土地です。

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実際、区のハザードマップを見ても真っ赤にそまっており、隅田川沿いの自然堤防と思われるわずかな微高地を除けば、荒川が氾濫ないし決壊でもしようものなら、区全体が逃げ場がなくなるという状況です(ちなみに区役所はその隅田川沿いの微高地に頑丈な高い建物の中にあり、区のなかでいちばん安全と思われる)。

そのことは引っ越してきた頃から意識はしており、転入手続きのときにもらったハザードマップの真っ赤っぷりに苦笑いしながらも、意識の片隅には水害のことはありました。

ただ、その一方で荒川は完成してから一度も決壊してないこと、墨田区は大河川はあるが、中河川があまりないこと(旧中川はあるが現在は荒川で分断されている)、内水氾濫ではそこまで大きな被害はでないかな〜と甘く見ているところもありました。

実際、墨田区は荒川と隅田川にはさまれているわけですが、氾濫を起こしまくっていた隅田川の放水路として郊外に人工的に荒川放水路(現名称:荒川)が作られた経緯があり、いざとなったら隅田川は荒川との分岐点にある岩淵水門を仕切ることになっており隅田川が氾濫する可能性はほぼありません。

結局は多くの犠牲とお金と労力を注ぎ込んで作った荒川が持つかどうかが墨田区の運命を握っているわけです。


台風19号当日の情報発信


10月12日当日は徐々に風雨が強まるなか、時々スマホで情報をチェックしながら昼間はのんびりAmazonプライムで映画を観てました。

映画をみているとお昼過ぎぐらいにはスマホが不穏な音ともに緊急速報をお知らせしてきました。「えらく速いなー」と思って通知をみると、近隣区からでした。

15時を過ぎると他の近隣区や国土交通省からも続々緊急速報がなり始めました。墨田区からは何もこないなーと思ったので、墨田区のホームページをみると………すでに繋がらない!


マジかよーと思いながらTwitterアカウントを見ると、

 


HPは繋がらないからFacebookを見よとのお達しが13時48分にすでに出ています。

 

Facebookをみてみると……近年のFacebookのUIはホントに意味不明なので、よくわからない写真とかが最初に出てきます。肝心の最新の情報が一番上に載ってないんですよね、FacebookFacebookを災害時のお知らせに使おうという考えがどうも間違えてるとしか思えません。この時は投稿タブを押すことでとりあえず最新の情報を確認することができました。普段Facebookを使ってない人がここにたどり着くのは困難のように思えますし、この体制は見直してほしいと思います。


時はくだり、17時に自分が住む地区に避難勧告が出たようです(時刻はのちに知りました)。住所を見る限り、墨田区の北部(通称:向島地区)にはほぼ全域に出ているようでした。

勝手にスマホが拾っていた近隣区のエリアメールを見る限り、他の区より出たタイミングは遅かったですが、中川や綾瀬川がある近隣区とは単順に比較できないと思いますし、このタイミングに関しては特に疑問はありません。問題は伝達方法です。

我が家は鉄筋のアパートの3階かつアパートにはさらに上層階もあるということで、この段階になってからは特段逃げないことはすでに確認していたので、防災用品を準備した程度でしたが、このお知らせを自分が知ったのは18時にきたNHKの防災アプリからでした。

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確認すると相変わらず墨田区からは何のお知らせもありません。防災無線は何か喋っているようですが風雨が強くよく聞こえません。ようやく墨田区Twitterが更新されたのは18時41分になってからでした。

ちょっとこれはひどいです。17時と18時40分では外の明るさがまったく違います。17時では避難可能であっても、日没を迎えた18時40分では避難の危険性も高くなります。

自分はたまたまNHK防災アプリに現住所をいれ、プッシュ通知をオンにしていたので気づきましたが、それ以外の人はどうやって避難勧告を知れば良かったのでしょうか。

NHKテレビではもちろんお知らせをしていたでしょうが、全国的に避難勧告が発令されるなか、墨田区の情報が流れるのは一瞬でしょう。HPは落ちてる、Twitterは更新されない、Facebookは見方がわからない、という状況。いくらなんでも酷いです。この情報発信体制は早急に見直しが必要です。

 

原因と避難所の情報が不足している


さすがに区役所側もこの方式の問題点に気づいたようで、20時ぐらいからTwitterに画像を貼って避難所の情報をお知らせはじめました。

でも、ここでやや気になったのは避難所が開設されている小中学校の場所です

墨田区のような低地で浸水の可能性が高い場合、安全と思われがちな小学校・中学校でも被害が出る可能性があります。ですので、洪水の場合と雨水出水の場合で設置される避難所は違います。というより、洪水の際は使えない避難所があります。そのことは事前に配布されたハザードマップにも記載されています。

我が家の近所でも最寄りの小学校はうちより荒川に近く、標高も低いため洪水時には避難所に指定されないことになっています。移動も考えれば、自分もあの小学校に行くよりは我が家の方が安全度は高いと思います(とはいえ小学校も4階建てなので、いざという時は逃げられる体制にはなっていると思いますが)。

なので、洪水時にはやや遠い隅田川沿いの中学校が最寄りの避難所になる……と思っていました。

で、実際その中学校も避難所になったのですが、夕方になってその荒川に近い小学校も避難所に指定されました。


うーん、解せない


よくよく考えたら、他の区の緊急速報は「○○川の氾濫の可能性が高まったので、下記の地域に避難勧告を出します」という形式です。

ところが、墨田区の避難勧告が突然住所ともに出されただけで、何で出たのか全くわからないのです。

向島地区にだけ出された、荒川の水位を警戒するような国土交通省からの緊急速報が来ていたことから、てっきり荒川の氾濫を警戒してだと思っていたのですが、荒川の氾濫=洪水なのでその小学校では甚大な被害が出ることが想定されます。ということは、内水氾濫を懸念して避難勧告が出たのでしょうか。区内の高低差から考えてもがけ崩れなどはほぼありえないでしょうし。


結局終わってみてもなんで避難勧告が出たのかよく分からない状況です。

墨田区の命運は事前に書いたとおり荒川にかかっているのに、あらためてみると墨田区からの荒川に関するお知らせが少なすぎるんですよね。

低地ゆえ高所が少なく荒川の氾濫警戒してなのか、内水氾濫かでとるべき行動は大きく変わってくる可能性があります。避難勧告を出すだけではなく、原因も含めた正確な情報提供も合わせて行ってほしいと思います