首都大学東京を改名する公約を掲げた都知事候補をまとめたよ

お知らせ :: ニュース :: 首都大学東京の名称に関する東京都知事発言について | 首都大学東京

我が母校、首都大学東京が「首都大学東京の名称に関する東京都知事発言について」なる不思議なリリースをだした。

都知事の談話を受けてのリリースなのは分かるけれども、わざわざ大学のプレスリリースで再送信するのは、
在学生の不安を和らげるとともに、この機に乗じて「東京都立大学」に大学名を戻したい、という大学の意志の現れであろう。

実際、首都大学東京より東京都立大学の方が何倍も分かりやすいし、OBとしても賛成である。
英語名はどちらもTokyo Metropolitan Universityなので、対外的にも問題ない。

困るのは、自分みたいな首都大学東京の間に卒業して、履歴書に「首都大学東京」しか書けなくて、
もともと知名度が低い上に、改名によってますます「首都大学東京」という名前の知名度が下がり、
2、30年後には履歴書に書いてもまっっったくどこの大学か分からなくなる狭間な世代だけであろう。
それに関しては、みなさんの薄い母校愛で我慢していただくしかない。

首都大学東京東京都立大学の地味な割に複雑な関係については、以前書いた記事を参照してほしい。

kei-ex.hatenablog.com

首都大学東京の改名を言い出した都知事候補たち

実は首都大学東京の改名を言い出した都知事候補は、小池都知事だけではない。
石原慎太郎が学校名や銀行名をおもちゃにすることを思いついてしまったので、
雨後の筍のごとく「首都大学東京」の改名を公約にした都知事候補がいた。

大学をおもちゃにしていることは石原元都知事と大差ないのだけれども、
本人たちはいたって真面目な公約たちを見ていきたい。

2003年 石原慎太郎

頽廃しつくした日本の教育の再建のために都立高校を大改造していますが、合わせて教育革命の表象として都立の大学を一括統合し、まったく新しい大学を作り出します。

すべてはここから始まりました。この「まったく新しい大学」というフレーズから謎の新大学・首都大学東京を生み出したわけです。教育革命の表象だったんだ!レプレゼント!
石原慎太郎の都立高校改革の重点化政策は比較的支持されていたかと思いますが、それと何の関係があったのだろうか。

2007年 黒川紀章

首都大学東京を、国際東京大学と改名する。四都市連合による都市経済の活性化を計るため四都市の大学(北京大学、国際東京大学、同済大学、大阪大学)の提携を促進し、
各大学に四都市の大学のサテライトキャンパスをつくる。
②この四都市大学連携は国際的なレベルでのアントレナーシップ(起業家精神)を生み出し、国際的な産学共同プロジェクトが実施できる教育・研究基盤となる。
③国際東京大学での講義の段を英語とし、世界の優秀な学生を集める。又、教職員の給与を改善する。

首都大が誕生したのが2005年なので、首都大学東京の改名を掲げた候補者としては初めてではないだろうか。

国際東京大学というネーミングの残念さはともかく、海外の大学のサテライトキャンパスとか産学協同プロジェクトとか英語授業とか今文科省が国立大学に押し付けている改革とそっくりでびっくりする。その結果は、今の国立大学の惨状を見て欲しい。
ただ、行政改革と言う名のコストカットが大流行だったこの時代にしては、教職員給与の改善を掲げているところは評価できる。

ご存知の通り、黒川紀章はその後すぐなくなるので、これらは当然のように実現せずに終わった。せっかくなら一棟ぐらい作ってほしかったところだ。カプセルタワーの寮とか。

2014年 田母神俊雄

世界に誇れる美徳を持った知力・体力・人間力を持つ、
強く、たくましく、心優しい子供達と教師を育て、全ての東
京都民が、「ふるさと」東京都日本に、誇りを持てる教育
政策を実施。「まったく新しい大学」を実現する。世界の
一流大学の世界最高の知性を集め、インターネット上
で、世界の学生が世界最高の講義を受けられるインター
ネット国際大学首都大学東京に増設する。

出た、「まったく新しい大学」!!!!この頃、石原さんと田母神さんは「たちあがれ日本」あたりで同じだったような記憶があるのですが、真の「まったく新しい大学」の実現を頼まれたんでしょうか。
結局、何が「まったく新しい大学」なのか誰も示せてないですけどね。ネット配信で講義を受けられるなんて、世界的には当たり前になりつつありますし、サイバー大学も2007年に出来てます。だいたい、地上波で大学の講義受けられるし。

ちなみに、首都大開学にあたっては従来の寄宿舎とは別に、石原慎太郎の肝いりで旧制高校の寮をモチーフに「人間形成」を目的としたという「桜都寮」なるものが新設された。
最初の頃は産経新聞の元編集長が寮長をやっていて、八木秀次とか呼んで講演させていた(らしい)。どうせ旧制高校をモチーフとするなら八木秀次百地章よりもカントとか読んでて欲しいところである。

今はどうなったのかというと、今の寮からはほとんどそういう「人間教育」的な要素はなくなったそうだ。
時代的にも学生への経済的支援の方が重視されるべきことだし、喜ばしいことだろう。そもそも、その地域のエリート校である地方国立大学と違い、レベルの高い私立大学が多くある首都圏でわざわざ公立大学を選ぶ学生は、低所得者層も少なくない。

当然、田母神俊雄は落選し、特に実現することなく終わった。石原慎太郎の影響力はこのあたりで潰えた、といったところだろうか。

2016年 マック赤坂

①スマイル教育. 東京都の学校にスマイルと挨拶を採用し朝礼にスマイルダンスを取り入れる. 首都大学東京を東京スマイル大学に改めスマイル学部を創設する.

首都大学東京改革案の中でやっぱり最高峰は我らがマック赤坂でしょう。

東京スマイル大学!!!国際東京大学首都大学東京が霞んでみえる独創的なネーミング。スマイル学部哲学科はベルクソン『笑い』あたりを読まされるんでしょうか。スマイル学部経済学科は笑いを行動経済学的な要素で検証してて欲しいし、スマイル学部生物学科は神経と笑いの関係を研究してて欲しい。あれ、意外と学際研究として面白そうでは?と思わなくもないですが、実際はベルクソンじゃなくてマック赤坂の書いた謎の本とか読まされるんだろうから、ネタとしてはともかく実現したらたまったものじゃないですね。

結果は言うまでもありません。スマイル!

2017年 都民ファーストの会

首都大学東京の名称を再検討し、都民に身近な大学. へ改革

これだけは都知事選の選挙戦での公約ではなく、都民ファーストの会都議会議員選挙の公約です。

正直、何言ってるかわかんないですね。本当は都民ファースト大学東京あたりにしたかったんでしょうか。
でも、結局この何言ってるかよくわかんない公約のおかげで、東京都立大学に戻りそうなのででめたしでめたし、といったところでしょうか。

ちなみに、首都大学東京は半分ぐらいが地方出身者の一人暮らしで、残り半分の通学生のマジョリティは横浜線で通学できる神奈川県民です。都民の皆さんの税金のおかげで学ばせて頂いています。感謝。